マルチエージェント交通流シミュレータとは

現実の交通流が一人一人のドライバが周囲環境を知覚・認識し、適切な判断を下して車両を運転した結果として生じる車両群の移動現象であるのと同じように、マルチエージェント交通流シミュレーションでは、車両一台一台に搭乗しているドライバ・エージェントが周囲環境を知覚・認識して、適切な判断を行って車両の運転を行うことで、交通流をシミュレーションします。

マルチエージェント・ベースト・交通流シミュレーションの概念図

マルチエージェント交通流シミュレーションの核となるのが、ドライバ・エージェントです。ASSTranseでは、これまでの認知科学・認知工学、エルゴノミクス、サイバネティクスなどの学問分野の研究成果を参考にして独自に開発した動的認知モデルを実装しています。ドライバ・エージェントに関連した内容の論文として、以下の学術論文を発表しております。

  • “Multi-driver agent-based traffic simulation systems for evaluating the effects of advanced driver assistance systems on road traffic accidents”, International Journal of Cognition, Technology and Work, Vol. 8, No. 4, pp.283-300, 2006
  • 「計算結果信頼性確保を目指した予防安全シミュレータ ASSTREETの開発」 (第1報〜第4報), 自動車技術会学術講演会 2009年春季大会
  • “Verification of ASSTREET Driver-Agent Model by Collaborating with the Driving Simulator”, SAE 2012 World Congress, Paper No.2012-01-1161

従来の交通流シミュレーションと対比したときの特長としては、

  • 計算の刻み時間が短く(DS接続時で10[msec]~通常100[msec]程度)、車両挙動再現の粒度が細かい
  • 横方向の運動も考慮されているので、たとえば、大型車が右折待ちしているために車線が狭くなり、通行できないなどの現象を取り入れることができる
  • ドライバ・エージェントの運転行動ルールを追加することで、様々な運転行動(たとえば、信号無視などの危険な行動など)を示す車両(複数でも特定の1台でも)をシミュレーション中に取り込むことができる

などが挙げられます。