導入実績:群馬大学障害学生支援室様


Google Apps/Google App Engineを活用したシステム開発事例:

群馬大学障害学生支援室様における
「テイカーのコーディネート業務システム」



ASTJでは、IT技術を活かした社会的事業への取り組みの一環としまして、群馬大学障害学生支援室様と共同で、Google AppsおよびGoogle App Engineを利用した「テイカーのコーディネート業務システム」を開発いたしましたので、その成果をご報告いたします。開発したシステムは、障害学生支援室様の日常業務にてご使用いただいております。



【システムが解決すべき課題】
群馬大学様では、障害のある学生もない学生も共に学ぶ環境を作るため、ノートテイクやパソコンテイクといった情報保障の提供に取り組まれています(図1)。
※ノートテイク:教員の声やその場の音などの情報を要約し、筆記して伝えます。
※パソコンテイク:教員の声やその場の音などの情報を、パソコンに入力して伝えます(IP-Talkというソフトを利用)。
※音声による情報を文字にして伝える方法で情報保障を「テイク」、テイクを行う人をテイカーと呼びます。
※詳しくは、群馬大学障害学生支援室様の、ホームページをご覧ください。


パソコンテイクのイメージ


図1:パソコンテイクのイメージ(群馬大学障害学生支援室様のHPより引用)

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効果的な情報保障を実現するために障害学生支援室様が行っている業務の1つに、聴覚障害学生のテイクが必要な時間を把握して、テイカーの資質や授業の内容を考慮した上でテイカーを配置するという「テイカーのコーディネート」があります(図2)。


テイカーのコーディネート業務


図2:テイカーのコーディネート業務

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しかし、これまでのテイカーのコーディネート業務は、障害学生支援室様にとって負荷が大変大きいものであり、今後、障害学生支援室様がより質の高い支援を提供していくために、テイカーのコーディネート業務を効率化することが強く求められていました。



【テイカーのコーディネート業務システム】
そこで、GoogleのクラウドサービスであるGoogle AppsとGoogle App Engineを利用して、テイカーのコーディネート業務を効率化するためのシステムの開発に取り組みました。
※Google Apps: Webブラウザを介して、メールやカレンダー、ドキュメント(文書作成)やスプレッドシート(表計算)といったオフィス用Webアプリケーションが利用できるGoogle提供のサービス
※Google App Engine: Googleのインフラストラクチャ上で、自作のWebアプリケーションを実行するためにGoogleが提供しているプラットフォーム

Googleのクラウドサービスを活用することの一番のメリットは、新たなIT投資をすることなく、高機能なWebアプリケーションを利用できるようになることです。大きな投資をする余力の無い小規模な組織には大変魅力的な選択肢となります。

開発に先立ち業務分析を行ったところ、テイカーのコーディネート業務において、特に負荷が大きかったのは、テイカーへのテイク打診に係るメールでの連絡・確認作業であると判明しましたので、その部分をシステム化することにいたしました(図3)。


システム化の対象箇所


図3:システム化の対象箇所

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開発しましたテイカーのコーディネート業務システムの構成を以下の図4に示します。障害学生支援室では、Google Appsのスプレッドシートを基本インターフェースとして用いて、支援対象学生の講義情報やテイカーの引受可能時間やテイク・スキル等の情報、テイカーのコーディネート状況等を管理します。一方、テイカーは携帯電話・スマートフォンなどの端末を利用して、障害学生支援室とやり取りを行います。


テイカーのコーディネート業務システムの構成


図4:テイカーのコーディネート業務システムの構成

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テイカーへの打診を例にとってシステムの詳細を説明いたします(図5)。まず、障害学生支援室からテイカーへのテイク打診(メール送信)は、Google Appsのスプレッドシートから起動されるGoogle App Engine上のWebアプリケーションにより行われます。このWebアプリでは、各種条件にマッチするテイカーを選ぶことができるようになっています。テイカーは障害学生支援室からテイク打診のメールを受け取り、そのメールに記載されているURLへアクセスすることで、テイク引受可否を返信します。その結果はGoogle App Engine上のプログラムを介してGoogle Appsスプレッドシートに反映され、障害学生支援室で確認することが出来るようになっています。


テイカーへのテイク打診とテイク引受可否の返信


図5:テイカーへのテイク打診とテイク引受可否の返信

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Google Appsスプレッドシートでは、Google Apps Scriptというプログラム言語(エクセルのマクロに相当)を用いて、一部の処理を自動化することができます。Google Appsからメールを送ることも出来ます。本システムでは、種々のスクリプトを作成しておりますが、一例を挙げますと、テイカーの登録の際に、入力した氏名とメールアドレスに基づいて、登録しようとするテイカーに、登録用URLが記載されたメールを送信するというスクリプトを実装しています(図6)。


テイカーの登録


図6:テイカーの登録

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テイク実施後に行う実施報告についても、テイカーはGoogle App Engine上のWebアプリケーションから行えるようになっています(図7)。実施報告されたことがGoogle Appsスプレッドシートに表示され、障害学生支援室からその実施報告を確認できるようになっています。


実施報告


図7:実施報告

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このように、Google Apps(スプレッドシートおよびGoogle Apps Script)と、Google App Engineを連携させることで、必要とされる機能を低コストで実現することが可能となります。



※本システム開発において、ASTJは、コンサルティング・システム提案を行い、障害学生支援室と共同でシステム仕様を決定し、プログラムの作成・動作テストを行いました。開発後の実際の運用(データの管理等)は、障害学生支援室が単独で行っており、ASTJは個人情報にアクセスできないようになっております。



【テイカーのコーディネート支援システムの効果】
群馬大学障害学生支援室様では、今年度、5名の聴覚障害学生に対して情報保障を提供しており、約100名の支援者登録者に対して、講義期間中、テイクのコーディネート業務を毎日行っていらっしゃいます。本システムによって、従来よりもかなりの効率化が図れているとお喜びいただいております。



【今後の展開】
ASTJでは、今後もGoogle AppsならびにGoogle App Engineを活用した教育機関ならびに小・零細企業向けの業務システム開発を行い、必要な機能を低コストで利用できるようにすることで、広く社会に貢献していきたいと考えております。

Google AppsおよびGoogle App Engineを活用したシステム開発案件がございましたら、コンサルティング・システム開発(Google Apps Scriptの作成およびGoogle App Engine 向けJavaプログラムの作成)をお引き受けできますので、お気軽にご相談ください。また、今後、ASTJで開発したGoogle Apps ScriptおよびGoogle App Engineアプリケーションの販売も予定しておりますので、是非、ご期待ください。